わたしだけではなく、ロンドンに期待を抱いて世界からやってくるひとびとは、みんながめいめいのロンドンを探して歩いているのです。


レスター広場のいかにも1930年代然とした映画館、それより古いウエストエンドの劇場で楽しむミュージカル等々・・・。


ある意味では、パリやウィーンとは違い、ここでは「らしさ」を自ら求めねば、本当のロンドンには行き当たらないのです。


残念ですが、それは争いようのない現実なのです。


そして、ここまで書き進んでくると、わたしはもうひとつの現実・・・


つまり、日本が抱えている首都、東京の溶解の風景が、ロンドンと驚くほど似通った構図を持っていることに思い当たります。


基準であるという江戸は、さらに弱々しい粒子の形でしか残っていません。




ロンドンは魅力的だとわたしは受け止めています。


ウエストエンド界隈の古齢しもたや風の街並み、コベントガーデンの狼雑なにぎわい・・・


そして、都心の低層の住宅群・・・。


これらを、路地の奥をのぞき込むようにして探し歩くロンドンでの日々は、どこにもない喜びを与えてくれます。


それは溶解してしまった都市の断片を探し歩く作業なのです。


その行為は、埋もれてしまった「楽園」を見つけだす心躍る旅でもあります。


20世紀が飲み込んでしまいましたが・・・


あまりに存在感がありすぎて、胃液のなかで消化しきれなかった事物が、わたしの目にはロンドンらしさのエッセンスとして映るのです。



バッキンガム宮殿での素晴らしさを思い出しながらの提案でした。


しかし、反応は冷ややかでした。


一体だれが費用を負担するのか、だれが組織するのか、などと疑問ばかり出されてしまいました。


軍隊か観光局がやれば成功しそうな案のように思えるのに・・・


これが難しいのであれば、一村一品運動も団長のいう通りなのでしょう。


マイペンライとサバイの哲学、それにチーム・ワークと責任感の薄さ、それらはまさに自給自足の世界の構図ではないでしょうか。


ひるがえって考えれば、そうした生き方こそ、人生の楽園でしょう。


タイの人々は、かつての生き方を今に生き、その問題点を知りながら新しい価値観への変化を求めて苦悩しているのではないでしょうか。


「自分の製品を反省することから始まるのでしょうが、わたしたちにそうしたことができるでしょうか。


市場調査を自分でしようとするでしょうか。


答えは否定的です。


第三に、生産量です。


市場を開発したら、市場の拡大に応じた生産が必要ですが、会社組織でやるならともかく、自主的なルーズな結びつきだけで、こうしたことが可能とは決して思えない」


・・・そうかも知れません。


そういえば、私が衛兵の交替を観光ポイントにしたら、というアイデアを出したときも、ご破算になってしまいました。


タイの衣装を着せた兵隊と象を登場させ、衛兵の交替式を王宮のチトラダ・パレスやエメラルド寺院などで披露しよう・・・。


必ず観光客がおしよせる、と提案しました。


よく知られているように、この運動は人作りであり、チームワークによる創意工夫の場です。


補助金などは期待せず、自らの手で自分の村を開発しようというところに、力点があります。


失望感を確認させられたのは、5人を引き連れて大分県などに長い旅行をしてきた一村一品運動視察団の団長の言葉でした。


結論は、明確ではあったがいささか悲しいものでした。


「残念ですが、この運動はタイにはむいていないように思えます。


第一の理由は、チームワークの欠如です。


それぞれが責任を持って、しかも全体を動かすというのは、おそらくタイの人々にもっとも難しいことではないでしょうか。


第二に、市場を開発するということは、自分が使い、自分が生産している物の長所と短所を知ることであり、同時に市場の全貌を知ることでしょう。」


経済企画庁から送られてくる『ESP』という雑誌を読んで、ふと思いつきました。


「大分県などに見られる一村一品運動を紹介してみよう・・・。」


10ページほどの短いレポートができました。


コピーをとり、何人かに配りました。


予想もしなかったところから反応がきました。


総理府経済技術協力局や工業省からもっとコピーをという要請もありました。


さらに、ILO事務局からはできれば大分県に行ってみたいとする声がありました。


しかし、いささか失望感も味わわねばなりませんでした。


一村一品運動が魔法のように受け取られ、輸出や国内市場への商品開発手段であるかのように解釈されていることを発見したからです。

A君自身その本部長が社長の子飼いであることを知らなかったわけではなく、むしろ知っていたからこそ、社長に諫言できるのは、その本部長しかいないと思い込んだのでしょうが・・・


これは失敗でした。


本部長にしてみれば実父の悪口をいわれたようなもので、それを鷹揚にききのがすだけの雅量はなかったのです。


A君には"本部長に一時不愉快な思いをさせてもかならず解ってもらえる"という甘えがあったのでしょうが、甘えとは過大な期待をもつことです。


・・・この場合、本部長と社長のあいだの距離よりも自分との距離のほうが短い・・・


いえ、率直にモノを言うことにより短くなるはずであるという思い込みで、本部長が自分の意見を採り入れてくれると期待したところに甘さがあります。


恥部を暴かれて平気でいられる人間はすくないもの。


口先と腹はちがうのです。


会議などでも上司は決して正論を期待していないといわれます。


正論を吐くなら上司を選ばなければなりません。


包容力のある人、度量のあるご仁にたいしてなどなどですが、これらは往々にしてみせかけだけのことが多いですね。


・・・とくに豪傑笑いをする上司は要注意です。


真に自信をもっている上役なら、寛容に幼い書生論も受け容れてくれるでしょうが、それが書生論であることには変わりはありません。


A君のようなタイプには、自分の尺度でしかモノを考えられない弱さがあるのです。



B君は、人は良いですが、すこしドジなところがあり、慌て者。


気軽に動くが、おっちょこちょいで詰が甘いのえdす。


仕事は早いが尻抜けで、守りに弱いため、犠牲にされやすいです。


頭は良いので敵の企みを見破る力はありますが、それをすぐ言ってしまうから威力がなくなります。


知っているぞと知らせるだけで、内容を明かさないほうが凄味があります。


つまり、こちらの芯の芯まで、心の奥底まで知られてしまうため、相手もワナを仕掛けやすくなる寸法です。


・・・これにたいして、A君は手八丁、口八丁、仕事もできますが理屈も強いです。


頭の良さが表面にでて、攻めが鋭すぎます。


いったん論争をしだしたら、上司といえどもとことんまで追い詰めます。


自分の意見が正論だと思うと、歯に衣着せず、ずばりと言い切るのです。


彼が課長に昇格する前、出世街道から外されたのは、当時の本部長が若手との懇談会の席上


"どうすれば我社の業績を向上させられるか"


・・・ときいたのにたいして、A君は


"現社長が1日も早く引退されることです。


最近は少々ボケてきているのに、過去の栄光と実績にたいする自信から現在の能力を錯覚し、経営にたいして発言しすぎます。


まさに典型的な老害です"


・・・と発言したのがきっかけだといわれています。




上司のなかに、これまた麻雀が三度のメシより好きなご仁がいて、B君はこの上司に可愛がられ、課長までは順調に引き上げられました。


一説によれば、あまりB君が負けるので、同情した上司がボーナスなどの成績考課で損失を一部補ってやったからだという見方もありますが・・・


B君が毎期ボーナス以上のものを上司や仲間に貢いでいたことは確かです。


サラリーマン社会では、麻雀が強すぎると出世しないといわれています。


その点はB君のビヘイビアは正しかったといえますが、今でも同じやり方をとっているところに問題があります。


最近は麻雀屋がガラ空きで若いサラリーマンはあまり麻雀をしなくなったといわれています。


接待麻雀が衰えたゆえんもあるでしょうが、それ以上に社内麻雀がすくなくなったためです。


麻雀のつきあい程度のゴマすりでは効果がなくなったからでしょうか。


そのうえ、親分の上司白身出世が頭打ちで、昔ほど人事にたいする発言権がなくなったためでもあります。


この環境条件の変化にB君は気がついていません。



うますぎるので1回は勝っても次にはかならずチョコレートを取り返されますし、またチョコレートを取り返すまで執拗にチャレンジされるからです。


最後は部内コンペでもA君は嫌われるようになりました。


彼は"試合であるからには、勝たなければ意味がない"というスポーツ哲学をもっていましたが、社内や取引先とのゴルフは試合とはいいきれないのです。


私は一度だけA君に、


「キミのところの部長はなによりもゴルフが好きなんだから、キミの取引先に頼んで部長をゴルフに招待してもらうんだな。


キミは参加せずに・・・」


・・・と、アドバイスしたことがあります。


ところが、彼は試合なんだから自分が出ないとゴルフにならないと思い込んでいた節があります。


B君は麻雀が好きです。


いつも自分がアレンジして4人のメンバーをそろえ、その癖いつも負けています。


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